特定のキーで、X7からトニックT△7やTmに、完全5度下(完全4度上)進行する事を、ドミナントモーション(Dominant Motion)と言います。
ドミナントモーションは、X―Tと表されることもあります。
このドミナントモーション(五度進行)は、音楽において、最もスムーズなコード進行であるため、強進行とも言われます。
ドミナントモーションの理論的説明の前に、以下のコード進行をギターで弾いてみてください。初心者でも簡単に弾けるコードです。
C→G7→C
これは、幼稚園や小学校の先生が弾く、起立、礼、着席です。
では次に、C→G7で止めてみてください。
Cを弾きたくなるはずです。
これは、7thコードの3度と7度の音程が、増4度(減5度)音程になっているからです。
全音3つ分の音程になっている事から、これをトライトーン(Tritone)・三全音といいます。
X7のトライトーンである長3度(G7であればシ)の音は、半音上(T△7のルート、C△7であればド)に、短7度(G7のファ)の音は、半音下(T△7の3度・C△7であればミ)の音にそれぞれ進行することで、解決感を得ます。
トライトーン G7 → C△7 ┌――●─―――──┐ ● ├――──―――──┤ ● ├――●─―――──┤ ├――――――───┤ └―――─―――──┘
また、調性に関係なく、短2度上のトニックに進行する事で、調性(Tonality)の安定した音へ導く7th音の事を、導音(Leading Note)と言います。(特定のコードに対して、トニックの半音下の音の事)
G7のシ(X7の長3度)は、C△7のドへと導く導音の役割も持っています。
導音 G7 → C△7 ┌―――─―――──┐ ├――──―――──┤ ● ├――●─―――──┤ ├――――――───┤ └―――─―――──┘
このX7に含まれるトライトーンと導音が、どちらもT△7へ進行する事を促しているため、ドミナントモーションは、音楽的に最もスムーズなコード進行なんです。